お母さまの遺品・指輪をリフォーム

群馬県のJ様の御依頼です。

お母様の遺品である指輪を、ご本人様のブライダルリングと重ね着け出来るリングに高さを低くしたい、もしくは、手持ちのダイヤと合せて右手用のエタニティリングに。との御依頼でした。

打ち合わせの初めの頃は、お母様のダイヤ一文字リングと、ご本人様のダイヤリングを使ってエタニティタイプのダイヤモンドリングをご提案したのですが、条件があり、価格的に厳しいところでしたので、条件を見つめなおして再考察。

<条件>
1.お母様のご結婚指輪のプラチナをリフォームするリングに混ぜて使いたい。
2.普段使いできるシンプルなもの
3.つけっぱなしが多いので、爪がしっかりしたもの

2、3は、デザイン上どうにでもなる部分でしたが、1の条件では手作り加工となってしまうため、とても高価な費用が掛かるお見積りになってしまいました。

 そこで、別の方法を考えるうちに、
①お母様の一文字リング&ご結婚指輪のみで高さの低いリングへ加工(お母様のリング2本を1本に合体させる)。
②ご本人様のダイヤリング2本を1本のリングへ。と変更しました。


①の完成はこちら
   ↓


お母様の指輪そのものを使って、1本のリングにしたものです。
高さのあるダイヤの一文字リングが、J様ご希望の低いリングになりました。



ご本人様のダイヤのリングは、センターストーンがふたつありますので、こんなデザインに。

残りのプラチナ地金を下取し、価格を抑えたホワイトゴールド&WAX製作でお作りします。

②は、センターのダイヤモンドは0.8ctあるので、全体的にボリュームがでてしまった為、もう一度お預りして修正します。

平打ちで角のあるリングでしたが、角を落としてボリュームダウン。
ほんの少しの違いでも、イメージが変わります。

* おまけ ****************

遺品を使ったリフォームの際、金属をそのままお使いになりたい場合は、以下の点をご留意ください。

<お預り品の地金そのものを使う際の留意点>

 プラチナ900は、90%の純度のプラチナで、残りの10%に、シルバーやパラジウムなどの金属が混ざります。
 それらの割合を変えずに、責任をもってPt900の刻印を打つ為にも、下取して分析・精製をすることが必要なのですが、お預り地金を使うにはご了承いただかねばならないことがあります。

*加工に必要なプラチナの量を補うため、こちらの金属を混ぜなければならないということ。例えば、5gのリングから5gの製品は出来ないからです。
 これは、5gの地金を溶かして塊りにし、形を整えていくと、途中、ヤスリで削ったり、磨いたりするので、5gよりも量が減ってしまいます。私たちは「減り」と呼んでいます。

*製作に必要な量を得るために、「減り」が必要なのですが、減りはお客様の価格的負担となります。

*預り地金は、品位(Pt900や、Pt850など)が一定でない場合があるため、分析をしていない製品には、刻印が打てないことがあります。

*必ず手作り加工になるため、WAXでの製作時よりも費用がかかります。

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